汚れた工具箱

本当に久しぶりに工具を使った。
まさしく埃まみれの工具箱。
一五年くらい前には、毎日のように使っていた。
今は小屋の隅で、砂埃を被っている。

箱の中の工具も埃まみれて、錆も浮いている。
手垢も何だか汚らしい感じ。
使いっ放しの雰囲気がある。
特にネジやボルトナットの当たり面の汚れが痛々しい。

横にあるケミカル用品のスプレー等も、同じく埃まみれ。
脂や樹脂の流れた後に、汚れが浮き出している。
缶を彩る商品名やデザインが、まるで奇妙な迷彩色と化している。


毎日乗るカブのチェーンの張り調整をしたかった。
近年のホンダの製品は、グローバル部品の調達で耐久性が著しい。
製品寿命が短くて、劣化が早い。
昭和の日本製バイクを知る身としては、商品価値が半減している。
円高の影響で、商品価値を落とさざるを得ない工業製品。
見る毎に痛々しく感じる。



購入して４千キロ越えた当たり。
タイヤよりも先にチェーンが駄目になりそう。
五千キロもたないだろう。
オカシナ状態に、ただ笑うしかない。

バイク屋に聞くと、皆同じように駄目に成るらしい。
新聞配達店では、次はヤマハにすると言っているらしい。
ホンダもジリ貧である。
価格を下げねば売れないし、下げれば評判が下がる。
ジレンマとはこのこと。
自分も次は、ヤマハかスズキにするつもりだ。
チェーンの交換は、国産専門部品にして様子を見るつもり。
切りのいいところで、バイクも交換したいね。



見た目は良くとも駄目な工業製品。
見た目は悪くとも、三十年も使っている三流工具。
この差は何なのだろうか？





　

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