犬は歩いて棒に当たる

今日は風が吹くという。
今日は雨が降るという。
きょうは歌を唄うのだ。
きょうは本を読まなくちゃ。



そんな言葉が頭にあって重かった。
だから朝の曇りの中に歩いて出た。
数年振りの散歩になった。
膝のトラブルで歩きに出られなかった。
先週、都内を１時間以上歩けたので安心した。
そろろろ歩いてもいいのではないか。
そう思えた。
自信も戻った。


けれどヤッパリ心配した。
だから昔の１／３の距離で止めた。
喜んで歩き回って悪くした足だ。
気分的に足りない位が丁度いい。



田畑にはたくさんの農産物。
たくさんの堆肥。
たくさんの鳥がいた。
子供も何かいたずらしている。
ああ春だと思った。
学校の桜は吹雪いていた。
素敵な桃色の吹雪だ。
しばらくまみれていた。
今日で綺麗に無くなるのだろう。
だから独り占めしていた。



気分や思考がまとまる。
昔の芸術家や文学者は歩いて発想した。
今はランナーと年寄りの特選だ。
もう中年だから自分も仲間入りする。

かつては走った道。
走るから足を悪くした。
それから歩いて、歩き過ぎて壊した。
壊して直してまた壊した。
それで大切な物をたくさん諦めた。

たくさん手にしようと走った。
走ってたくさん失った。
失って新しいモノを手にする。
欲しいか要らないかは別のこと。
手にしたものを大切にしようと思った。
これからの宝物にする。



また歩いて確認する。
宝物として輝くだろうか。
過去は思い出にできたかな。
あたらしいモノは希望になったか。
ならないか。



春に切り替えができた。
思えたならば新年度だ。
善い春の日になった。




　

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