書評「自分の木の下で」大江健三郎 [勝手な思い込み]
自分の無能さについて、絶望的な気分な成ることは、
少ない事ではありません。
自分に何が足りないのかその都度判ってしまうので、
過大な誇りをもつ事の無意味さを知る状況でもあります。
「自分が何も知らない事を知っている」と言ったのは、
ギリシャ当たりの偉人、誰かだったような・・・。?
「自分の木の下で」
大江健三郎 著 大江ゆかり 絵
朝日新聞社・朝日文庫
600円+税
ノーベル賞を貰う人は伊達では無いと判ったのが、
この本を読んでから知ったこと。
ぶちのめされた気分になった事は忘れられません。
文学の圧倒的な力を持つ人の文章は心をココまで打つのか、
そう感じたのですが、決して偽りの言葉ではありません。
大江さんを長年非難する人が居るのは承知してますし、
思想に賛同出来ない内容、部分もあります。
「賞を貰うか有り難い人」とも思いません。
自分に生き様と対比するとそうなりますが、
この方の人間力や文章力は圧倒的だと良く理解もできます。
非難する人の殆どは才能に嫉妬しているだけだと判ります。
それ位文章に力がある。読んでいて気持ちよい。
それが大江文学の魅力なのでしょう。
純文学は売れないジャンルですから、
これ位の力が無いと生き残れない、それも判ってしまう。
良いものを知ることがどんなに自分の為なるのか、
どんなに自分の無能さを知るのか、
本物の持つ力を、このエッセイを読むだけで垣間見る。
そういった本なのでは、ないのでしょうか。
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